マリノスは代表の佑二と功治が居ない。マツを最終ラインに下げてアーリアと宏太でボランチを組む布陣。アーリアは予想していたが、宏太のボランチは全くの予想外。兵藤あたりを使うのだろうと思っていた。宏太はやはり慣れないポジションのためか、守備のポジショニングや自陣でのボール回しはややぎこちなく見えた。ただ、攻撃参加はダイナミック。後半にはぎこちなさも消え、のびのびプレーしていた。展開力もあるし、飛び出しも魅力。宏太にパスが通ればゴールという場面も何度かあった。スタメンを見たときは宏太のボランチは無いんじゃないかと思ったが、意外に適性があるかも。でもやっぱり右からのクロスも捨て難い。
アーリアも非常によかった。周囲との連係で度々ボールを奪っていたし、つなぎも問題なし。宏太もそうだが、パスセンスは非凡だ。個人的にはもっともっとミドルを狙ってほしいのだが。ただ、若い二人が使える目処が立ったことで代表組が戻ったらどうするのだろう。監督も嬉しい悲鳴か。欲を言えば、兵藤や小椋のプレーも見てみたかったが、1点差だったので慎重な采配になってしまったのかな。こう書くと良いことづくめのようだが、後味は悪かった。
試合開始直後から伏線はあった。大分の選手が判定に激嵩し、度々主審に詰め寄っていたのだ。私の目から見てもフィジカルコンタクトに甘い審判なのはすぐに分かった。ただ、マリノスの選手は冷静だったし、判定の基準は一貫しており別に大分に対して意図的に不利な笛を吹いている訳ではなかった。ただ、結果的にはマリノスに有利な笛だったことは否めないが、それにしても大分は熱くなりすぎた。この分ではいずれ退場者を出すことになるだろうと思っていた。一方マリノスは早めに判定の傾向をつかみ、うまく対処したと言えるだろう。判定に不満でもそれほど大げさに抗議はしなかった。少なくともあのシーンまでは。
それは後半の29分、マリノスが1点リードしている状況で起きた。ロニーが左サイドでボールを受け、何気なく最終ライン中央のマツにバックパス。ところが、このパスが大きく流れてウエズレイに渡ってしまう。マツがマークに走り、1対1の局面に。ウエズレイはマリノスのゴールに向かってやや左(バックスタンド側)から中央にカットインしてマツを抜き去り、シュート体勢に入ろうとする。だが、マツも一旦は置き去りにされるがすぐに追いすがり、ウエズレイの左後方からタックルを仕掛けた。マツの左足は正確にボールを捉え、ボールはウエズレイの足に当たって前にこぼれ、マツの流れた足がウエズレイの足に引っかかるような形でウエズレイは前のめりに倒れた。ピンチを逃れた、私がそう思った瞬間に笛が鳴った。
マツにイエローカードが示され、場内が騒然となった。マツのタックルは全く正当で、ファウルではなかった。このときの位置関係を説明しておくと、私はアウェイ側バックスタンドの上段におり、おそらくこのプレーを一番見やすい位置に居たと思われる。主審はこのプレーを背後から見ており、おそらく接触が起きたときはボールはウエズレイの体に遮られて死角に入っていたはずだ。いずれにしろ、主審の位置からは裁くのが難しいプレーだった。副審はメインスタンド側に位置しており、ウエズレイの右横から見る形。ボールが見えたかどうかは微妙だが、主審よりは見やすい角度だった。
「審判やめちまえ。」スタンドから罵声が飛ぶ。マリノスの選手達もこのときばかりは猛然と抗議した。おそらく隼磨だったと思うが、副審に確認してほしいとアピールしていた。主審も実際自分の目だけで裁くには角度が悪かったことは自覚していたようで副審に確認しに行った。私はこれ自体は賢明な判断だったと思う。そして判定が覆った。ウエズレイはダイビングを取られイエローカードを受ける。そしてこれが2枚目だったため退場に。今度は大分側が騒然となる。結局、マリノスのFKで試合が再開され、1-0のまま試合終了。
私の見解では問題になったプレーにおいてはどちらにもファウルは無かった。マツのタックルは全くもって正当だったし、ウエズレイも自ら倒れた訳ではなく、マツの足が引っかかって倒れたと思われる。実際の所、ウエズレイが意図的にダイビングしたかどうかは本人にしか分からない訳だが、あの状況で倒れずに踏ん張ることのできる選手は世界中探してもいないだろう。つまり、審判は笛を吹くべきではなかったのである。そもそも、このマツのタックルがファウルなら大分もマリノスもイエローカードに価するプレーは両手にあまるほどあった。その全てを流しておいてここで笛はない。ただ、主審から見えずらい角度であったことは気の毒だったし、副審に確認して誤りを正したのは良かった。ただ、それがウエズレイへのイエローカードという新たな誤りを生んでしまったことは皮肉だった。
主審は大分の選手の抗議に対してもっと早めにイエローカードを出すべきだったろう。確かに審判はむやみにカードを振りかざすべきではないが、試合開始早々から大分の複数の選手が主審に詰め寄るような状況では早めにカードを提示すべきだったと思う。一方、大分にも問題はある。前述の通り、ファウルの基準は問題のシーン意外は一貫しており判定は大分に対してのみ不利だった訳ではない。それをアウェイで不利な笛を受けているかのように被害者意識を拡大させて集団で抗議を繰り返したことは、間違いなく審判の心証を悪くした。それがウエズレイの転倒をダイビングと判定された遠因になっていると思う。
ゼロックススーパーカップで騒がれた審判問題はひとまず沈静化したかに思われたが、これでまた再燃しかねない。審判が試合をコントロールする為には選手の協力はたしかに不可欠だ。選手にも改めなければいけない点は多々ある。だが、審判の側にも改善すべきことはある。例えばこの試合の主審は浦和との開幕戦を担当した吉田氏と比較すると判定の際の動作が分かりにくかった。吉田氏の場合は見ていて笛が鳴ったら何故なのかが、ジェスチャーで分かるし、接触プレーを流す場合も動作で分かりやすく示していた。この日は判定の理由が審判の動作からは分かりにくかった。選手には口頭で伝えているのかも知れないが観客には分からないし、選手も審判の動作が分かりやすい方が絶対にプレーしやすいと思う。それがSRと通常の審判との差だと言われればそうかも知れないが、こうした点は審判部の指導ですぐにでも改善できるはずだと思うが、どうだろうか。
それにしてもニッパツは寒かった。観戦時の防寒対策などは下記の記事を参照してください。

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